act.34
<side-SHINO>
翌日の朝は一見するといつもの朝と同じで、変に気構えていた俺は拍子抜けした。
駅のキヨスクでは例の雑誌がもう発売されているようで、『ゲイ作家・澤清順に新恋人発覚!』と印刷されたその雑誌の中刷り広告が既に車内ぶら下がっていたが、ラッシュアワーでモミクチャにされている人々が特にそれを気にする訳でもなかった。
── なんだ、こんなものかと思いつつ会社に出社すると、社内の方が何だかざわついていた。それもなぜか、女子社員が。
会社にたどり着くと、まず受付の女の子達から「大丈夫でしたか?!」といやに心配された。
「え? いや・・・、うん、特には・・・」
物凄く真剣に心配されたので、逆にそっちの方に驚かされたというか。
後ろを通っていく男性社員達も、俺と同じようにきょとんとした顔つきで通り過ぎていく。
廊下で女子社員とすれ違う時も受付と同じような反応で、中には「篠田君、困ったことがあったら、直ぐに言ってきて。力になるから」と声をかけてくる先輩女子社員までいた。
── な、なんなんだろう。今朝になって、突然女子社員の中に一致団結した『絆』らしきものを感じるのは。昨日から今日にかけて、我が社の女子社員に何があったのか・・・。
何となくいつもと違う空気を感じつつ・・・しかも俺にとって悪い方向に空気が変わるのならともかく、むしろ女子社員皆が、俺に気を使ってくれているのが鈍い俺にもはっきりとわかる・・・。日本酒課のフロアに辿り着くと、女子社員の変化の原因がわかったような気がした。
日本酒課のブースに入ったなり、俺は田中さんに捕まった。
「昨日、広報課の奈緒から聞きました。成澤さんとの関係が、週刊誌にすっぱ抜かれたって。だから皆で篠田さんと成澤さんを守ろうって、私達、決めたんです」
田中さんは、俺以上に深刻な顔つきでそう言った。
田中さんにそう言われ、俺はようやく理解した。
広報課の木下奈緒ちゃんは、田中さんと取り分け仲のいい4人組の中の一人だ。おそらく昨日、社長が今後の対応の為に広報課にだけ今回のことを話していたはずが、密かに女子社員の間で話が広がっていったのだろう。 そしておそらく今朝の様子からして、田中さんの指す『私達』っていうのは、仲良し4人組を超えた、全女子社員の可能性もあるっていう・・・・。── っていうか、うちの女子社員が皆、そんなに仲良かったことが逆にびっくりなんだけど。しかも夕べ一晩の間に女子社員の間で話がまとまったっていうのって、何だか凄くないか? その機動力に、またまたびっくりなんですけど・・・。
だが、俺が呑気に構えていられたのは、田中さんがこう言い出すまでのことだった。
「雑誌、見ました。成澤さんのことはともかく、あんなに篠田さんの情報が事細かにバレてるのなんて、おかしいです。絶対に、社内の誰かがリークしたに決まってます」
ドキリとした。
昨日、川島に謝られたことが頭に浮かんだ。
「た、田中さん、それは・・・」
「私、旦那が法医学やってるんで、捜査的なことには強いんです。もう犯人の目星はついてます」
「いや、そういうのは・・・」
その矢先、タイミングが悪いことに川島が出社してきた。
田中さんが立ち上がった。
「ちょっと川島さん、いいですか」
「え? 何?」
川島は、田中さんから怖い声で声をかけられ、面食らった様子だった。
「昨日、休憩室で篠田さんに何か謝ってたみたいですけど、何を謝ってたんですか?」
「何って、それは・・・」
田中さんが食って掛かる勢いで川島に詰め寄ろうとしたのを、俺は押さえた。
「いいんだ、田中さん。もう終わったことなんだ。ちゃんと謝ってもらったから、もういいんだ」
田中さんが振り返る。
「だから何を謝ってもらったんですか? ひょっとして、マスコミに篠田さんのこと言いふらしたの、川島さんだったことじゃないですか?」
川島の顔が目に見えて青ざめた。
「ほら、図星でしょ? 川島さん、マスコミの人にどう説明したか知りませんけど、週刊誌に書かれている篠田さん、兄妹共々素行不良で高校を中退したみたいに書かれちゃってるじゃないですか。そんなの、全然正しくなんかないでしょ?! 今の社内で篠田さんに対して否定的な感情を抱いてるのって、川島さんだけじゃないですか。篠田さんの働きに嫉妬してるからって、ちょっと酷過ぎるんじゃないですか?」
「田中さん!」
俺は田中さんの腕をグイッとひっぱった。
田中さんが俺を見る。
俺は首を横に振った。
「皆が俺を守ってくれようとしてることはとても嬉しいよ。でもそう思うなら、川島のことも守ってほしいんだ。川島は昨日きちんと謝ってくれた。俺はそれを受け入れた。それでいいじゃないか」
「・・・篠田さん・・・」
「川島の言ったことを勝手に歪曲させたのは、雑誌の記者だよ。川島は訊かれたことに答えただけだ。そうだよな、川島」
俺が川島を見ると、川島は青ざめた表情のまま、二・三回頷いた。
「あの記事の写真も、本当はそういうシチュエーションじゃないのに、嘘のコメントをつけられたりしてた。週刊誌っていうのは、そういうものなんだって思うよ」
「篠田さん・・・・」
田中さんは少し困った顔をして・・・というより呆れてたのかな・・・俺の名を呟いた。
俺は再度田中さんを見つめ直すと、
「それより今日、千春が社長に会いに来るんだ。凄く緊張してるから、会社に来た時はフォローしてあげてほしいんだ」
と伝えた。
途端に田中さんの表情が変わる。
「え? 成澤さん、来るんですか?! 会社に」
「ああ。なんでも、社長が直接会いたいっていうから・・・」
「ふぅん・・・。そうですか、社長が・・・」
田中さんは俺から視線を外し、宙をぐるぐると見遣って何か考えているような素振りを見せた後、
「わかりました。こうしちゃいられない。成澤さんが来社された時に、騒ぎが大きくならないようにしないと」
と突如そう呟いて、慌ただしく日本酒課を出て行った。
「な、なんだか、大事になってるんだな・・・」
川島が申し訳なさそうにそう言ったので、俺はポンポンと二回、川島の肩を叩いたのだった。
<side-CHIHARU>
今朝の体調は、悪くなかった。
シノさんに言われるがままゆっくりと眠ったら、熱も完全に下がって、あんなに大きかった不安な気持ちも、幾分和らいでいた。
まぁ、不安感を払拭してくれたのは他でもないシノさんの温かい腕に包まれて一晩眠ったお陰なんだけど。
昨日は、僕がぶっ倒れたことを聞きつけてシノさんが会社を抜け出してきてくれて、僕を慰めてくれた。
そして僕に言ったんだ。
── 一緒に、住もう。って。
ホント、あの人、どうかしてるよ。
これからきっと僕の存在がシノさんを苦しめることになるのが目に見えてわかっているのに、「一緒に住もう」だなんて言えるんだもの。
でも、たまらなく、嬉しかった。
シノさんは、僕との関係に本気なんだってこと、証明してくれた。
人前で涙を見せたことのないこの僕が子どものように泣きじゃくってるのを見て、岡崎さんも心底驚いた顔つきをしてたけど、僕は涙をこらえることができなかった。
そうして、なんとか一先ず落ち着けた僕だったんだけど。
今朝、シノさんに「社長が千春に会いたがっている」と告げられてから、今度はかつてない緊張感が僕を襲った。
昨日は勢いで「僕も会社に行く!」て息巻いていた僕だけど、改めて社長さんから「会いたい」と言われ、下世話な話、僕は本気で”ビビって”いた。
だってそれって、僕がシノさんにとって相応しい相手かどうか、加寿宮社長が見極めるってことでしょ。
若い頃両親を亡くしたシノさんが加寿宮社長を親代わりに思っていることは、シノさんの普段の会話から伺い知れることだし、実際シノさんの話を聞いていたら、加寿宮社長に随分可愛がられていることもわかる。
気になって僕が独自に調べてみた加寿宮社長という人は、政財界に随分顔が利く『切れ者』らしいし、顔写真も見たけど、あの鋭い眼光は偽物を瞬時に見抜くタイプだ。一代で東京のど真ん中に自社ビルを構えただけのことはある。
── これでもし、加寿宮社長に僕が認められなかったら、どうしよう・・・。
シノさんのあの性格だ。
きっと僕と加寿宮社長を両天秤にかけることはできないはずだ。
どうせ「どっちも大切だから、認めてもらうまで俺が頑張る」とか何とか、言ってそう・・・。
世の中には頑張ったってどうしようもないことってたくさんあるし、悲しいけどそれが現実っていうことも数多くある。そういうことにブチ当たって、シノさんが傷つくのを見るのは、辛過ぎる。
もし、本当に加寿宮社長に拒絶されたら、本当に僕はどうしたらいいのか・・・。
そう思い出したら緊張感がハンパなくなって、口から心臓が飛び出してしまいそうになり、それで思わず気分が悪くなった。
しかも気分が悪くなったのが、加寿宮に行く時間を作るために岡崎さんにスケジュール調整の依頼をしている電話口でだったから、格好悪いことこの上なかった。
仕舞いには岡崎さんに心配され、「やっぱり私もついていこうか」と言われる始末だった。
最初は個人的なことだから、岡崎さんの仕事の時間を奪うのは・・・と断った僕だけど、「澤清順の精神の安定を図るのが、私の何よりの使命なんですけどね」と畳み掛けるように言われ、弱気だった心を突かれつつ、結局は加寿宮まで車を出してもらうことにした。
「あなたの車は赤い外車だし目立つから、返って黒塗りの愛想のないこっちの車の方がいいのよ」
いつもの流潮社の車の後部座席で、隣に座る岡崎さんにそう言われた。
「確かに、その通りですけど・・・。でも、会社には僕一人で行きますから」
「ハイハイ、どうぞご勝手に。精々、篠田さんの会社でぶっ倒れないようにしてね」
その言い草に、僕は苦笑いした。
「酷いな、その言い方」
「だって、こっちも驚くわよ。昔のあなたは、殺しても死にそうにないほど心臓に毛が生えてそうな感じだったのに、今じゃその心臓が飛び出しそうだっていうんだから。随分変われば変わるものだと」
「そっちだって変わったんじゃないですか?」
「え?」
「ネイル。今日、してないじゃないですか」
岡崎さんは、今気がついたというように、自分の爪を見つめた。
「あら、ホント・・・。夕べ落として、塗らなきゃって思ってたんだけど・・・。何だかあなた達二人のことを心配してたら、塗るの忘れちゃったんだわ。嫌だ、まるで私、あなたのお母さんみたいじゃないの」
岡崎さんと僕は顔を見合わせると、二人同時に吹き出した。
まさか岡崎さんとこんな風に笑いあえる日が来るなんてね。
「 ── 感謝してます」
一頻り笑いあった後、僕がぽつりとそう言うと、岡崎さんは僕の肩をグイッと押し、
「らしくないこと言わないの」
と苦笑いしたのだった。
僕を乗せた流潮社の車は、加寿宮ビルの入口が見える場所の路肩にゆっくりと停車した。
運転手の浅生さんと岡崎さんが身を乗り出してビルの入口を見やる。
「あ~・・・それらしきヤツ、いますねぇ・・・」
「マスコミ関係もそうだけど、一般の野次馬らしき女性の姿もチラホラ見えるわ・・・。きっと皆、目線で隠されてない篠田君の素顔を見たくて来てるのねぇ・・・」
「でも、相手が流石に一般人ともあって、会社の中まで突撃する輩はいないみたいですね」
「そんなの今だけかもしれないわ。これで澤君が会社の中に入っていくのを見られたら、一気にヒートアップしちゃうかも・・・」
「そうですねぇ」
「どうする? 澤君」
岡崎さんが、僕を返り見る。
僕は溜め息を吐いた。
「そうは言っても、ここで引き返す訳にはいきませんよ。僕は断固、加寿宮社長と面会します」
「意気込みはわかるけど・・・。さて、どうしたものか・・・」
岡崎さんが呟いた時。
車の直ぐ後ろで軽くクラクションが鳴らされた。
三人で振り返る。
あ!っと思った。
そこには、KAJIMIYAのロゴマークがついた車が停まっていたからだ。
運転席で手を振っていたのは、田中さんだった。
すぐに僕の携帯が鳴る。
『成澤さん?』
「ああ、田中さん。どうしたの?」
『そろそろ来られる頃だと思って。私の車について来てください。ちょっと離れたところに、加寿宮の配送倉庫があるんです。そこで社の車に乗り換えてもらって本社の駐車場に入れば、パッと見、わかりませんから』
僕が田中さんの言ったことを二人に伝えると、岡崎さんはニヤッと笑って「凄い頭脳プレイじゃないの」となぜか浅生さんの頭を小突いた。
結局その後、僕は田中さんの指示通り、加寿宮の車に乗り換えて加寿宮本社に入った。
田中さんが言う通り、社の裏口にある駐車場の出入口にもマスコミや野次馬がいたが、誰も僕のことに気づく者はいなかった。
車から降りると、僕と田中さんは顔を見合わせて溜め息をついた。
「本当に、ご迷惑ばかりかけてすみません」
僕がそう言うと、田中さんは首を横に振った。
「いいえ、とんでもない。篠田さんは我が社のアイドル的存在なので、彼に元気がないと会社中沈んじゃうんです。本当にいつも元気な人だから」
「本当にそうだよね。いつも弱音を吐いてるところを人には見せない人だから。でも、田中さんにはいろいろ気を使ってもらって、感謝してます。ありがとうございます。一度ちゃんとお礼を言わなきゃってずっと思ってたんだ」
田中さんはにっこり微笑む。
「そう言ってもらって嬉しいです。我が社の女子社員全員に対しての謝意だと受け取っておきます」
「女子社員?」
「ええ。篠田さんと成澤さんのこと、女子社員全員で応援することにしたんです。だって好き同士なのに、外的要因で別れさせられてしまうなんて、そんなの悲劇的過ぎるじゃないですか」
── なんだか・・・加寿宮社内、ちょっと大変なことになってる? しかも、予想外のいい方向に・・・。
ゲイ歴の長いこの僕でも経験したことのない展開に、さすがの僕もちょっと戸惑った。
これってやっぱり、シノさんの人徳のなせる技なのか・・・。
どうやら田中さんの言っていることは本当のようで、田中さんに連れられて社内に入ると、なぜか一切騒がれることはなかったが、女子社員から『熱い視線』が僕に注がれているのがわかった。しかもその『熱い視線』が、いつものピンク色じみたものではなく、まるで戦友か何かが帰還したかのような不思議な歓迎を表す視線のように思えた。
それとは打って変わって、男性社員はというと、エレベーター等で僕と乗り合わせたり、廊下ですれ違ったりする社員達は、総じて僕を見て驚いて声を失っているといった風だった。
それはあの週刊誌の情報を知っていての反応というよりは、純粋に僕のようなタイプの容姿の男を身近で見たことがなかった、というような反応だった。これは、以前から初めて会うノンケの男性にはよくされる反応だったので、慣れたものだった。
各階でエレベーターが止まり、社員が軒並み降りていって僕と田中さんだけになると、田中さんは僕に話しかけてきた。
「随分緊張なさってますね」
僕は少し息をする意味でも、ハハハと笑って胸を喘がせると、「そうなんだ。柄にもなく」と返した。
「うちの社長は見た目怖いけど、親父ギャグ連発の気のいいオジさんですから。ちゃんと話せばわかってもらえますよ」
僕は、写真で見た加寿宮社長の姿を思い浮かべた。
── 親父ギャグは言いそうにないイメージの人だったけど・・・。
「シノさんは、社内にいます?」
「はい。今日は外に出ない方がいいだろうとの課長命令で内勤してます。篠田さんも成澤さんと社長が会うことで大分緊張してるみたい。あ、つきました。この階に日本酒課があるんです。社長室に行く前に、日本酒課に寄ってほしいって篠田さんが言ってたから」
くしくもシノさんの仕事場を訪れることになって、僕は別の意味で緊張した。
ゲイ同士ならともかく、ノンケだった人の職場にゲイの恋人が行くのなんて、あり得ないでしょ、普通。
フロアに降り立つと、突然視界が開けた。
エレベーターホールの前がガラス張りになっていて、広いワンフロアに複数の営業課が入ってるようだった。
「日本酒課はこちらです」
爽やかな若草色の低いパーテーションで区切られた一角が日本酒課のようだった。
シノさんの言っていた通り営業課の中では主力でないのか、隅の方に位置している。
課の中の社員は全員出払っているのか、日本酒課の中にいるのはシノさんと課長らしき年配の男性社員だけだった。
「篠田さん、成澤さんが」
田中さんが声をかけると、シノさんと課長さんが同時にこちらを向いた。
僕は課長さんと目を合わせると、丁寧に頭を下げた。
それを見て課長さんも頭を下げてくれた。
シノさんが近づいてくる。
「ごめん。忙しいのに」
「いいえ。こちらこそ騒がせてしまって。会社の外・・・」
「ああ。朝は何ともなかったんだけど、時間が経つと共に人が集まってきて・・・。田中さん達が逐一社外の様子を見てきてくれるから、その辺は安心してる」
「篠田さんが退社する時の対策も、皆で考えてます」
田中さんは、ガッツポーズをしてみせた。
なんと頼もしい。
「一緒に行きたいところだけど、社長、さしで千春と会いたいって言ってるから」
僕だって不安でいっぱいだったけど、ここでその不安をシノさんにぶつける訳にはいかない。僕はニッコリと笑うと、シノさんに「わかってます。大丈夫ですから」と言って、再び課長さんに視線を戻し会釈した。
課長さんも同じように会釈してくる。
僕の腹は決まった。
シノさんがこのままこの会社で働いていけるようにするには、僕が加寿宮社長の信頼を得なくてはならない。
ここで怖じ気づいてばかりじゃ、ダメなんだ。
小刻みに震えていた手をギュッと握りしめて、落ち着かせる。僕は深呼吸した後、短くハッと息を吐いた。
「じゃ、行きましょうか」
「わかりました。ご案内します」
僕は田中さんの後をついて、フロアを出たのだった。
<side-SHINO>
千春が田中さんに連れられてエレベーターの向こうに消えた後、俺が席に戻ると、課長がぼんやりと呟いた。
「あれが噂のチハルちゃんか・・・」
まさかそんなこと課長が呟くとは思えなくて、俺はビックリした顔で課長を見た。
けれど課長は俺の顔を見もせず、千春が今まで立っていた場所を見つめたまま、更に呟く。
「思っていたより・・・美人だな」
「ええ・・・まぁ・・・」
俺は一応そう答えたが、課長は俺の答えなど耳に入っていない様子だった。
続けて課長は呟く。
「道理でシノは社内の女の子に興味を示さんはずだ」
「はぁ・・・」
てっきりその後に、「シノが男を好きだったとはな」と続くかと思いきや、課長が言ったのは次のひと言だった。
「まさかシノがこれほどまで面食いだったとはな。社内で浮いた噂が立たんはずだ。我が社には、あれほどの美人社員はおらん」
here comes the sun act.34 end.
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編集後記
深刻な話の展開なのに、なぜが笑いのシーンで最後終わるっていう・・・。
やはりこれがシノさんカラーなのでしょうか。
深刻なのに、呑気。大変な事態なのに、おおらか。
きっとシノさん、普段から女子社員の和みグッズだったんでしょうねぇ・・・。
それはそうと、先週お休みしてすみませんでした。
休みなしで働くと、僅か二週間でも身体にこたえます(汗)。いやぁ、もう年ですわ・・・。
人間、老化には負けますな(汗)。
これから年度末にかけて、更に忙しくなっていくので、ちゃんと更新していけるか不安・・・不安・・・。
できる限り頑張っていこうと思いますので、よろしくお願いします。
ところで、今日、田中さんが既婚者であることが判明しました。
旦那は法医学者。
・・・。
わかる人は、わかるかと思いますが。
シノさん、チハルのお話も、これでようやくイレギュラー・エーオーの他のお話とリンクさせることができました。まぁ、これ、作者の趣味みたいなものなですけどね。
でも、密やかな楽しみでもあります。なんか、向こうの世界が現実にあって、時間が実際に進んでいる・・・キャラ達が生きているような気がして、楽しい気がするのです。人はそれを『現実逃避』と呼ぶかもしれませんが(笑)。
でも疲れた時のオアシスのような存在なので、勘弁したってください。
[国沢]
小説等についての感想は、本編最後にあるWEB拍手ボタンからもどうぞ!